コラム
【美容サロンの生産性向上】消費増税への対策 「キャッシュレス・消費者還元事業」導入方法とメリットとは?(2019年04月17日)
2019年10月1日より、いよいよ消費増税が行われ、現状8%から2%引き上げられ10%となる。多くのサロン経営者は、「消費の落ち込み」を懸念しているかもしれない。というのも、前回の消費増税で5%から8%に引き上げられた際、消費の落ち込みが起きたからだ。
その教訓から、今回の消費増税に合せて政府は、「需要平準化対策」を施した。それが、「キャッシュレス・消費者還元事業」と言われるものだ。簡単に言うと、「消費の落ち込みを抑えること」と、「キャッシュレス化促進」の両方を狙った事業だ。
ユーザーが買い物をする際に、キャッシュレス決済を行うと、5%又は2%の「ポイント還元」行われ、その際に利用した店舗にとっても、ポイント還元やキャッシュレス化が促進することで、様々なメリットがあるとされている。
そこで今回は、「キャッシュレス・消費者還元事業」を、サロン経営にどのように活用していけば良いのか、考えてみることにする。
キャッシュレス・消費者還元事業って、一体なんだ?
「キャッシュレス・消費者還元事業」の目的
「キャッシュレス・消費者還元事業」の目的は大きく2つ。
1.2019年10月1日の消費税率引上げに伴う消費の落ち込みを抑えること
2.キャッシュレス化を促進することで、キャッシュレス決済の普及を図る
消費増税後、この事業に参加する中小・小規模事業者で消費者が何かしらの購買行動を行い、その支払の際に、キャッシュレスによる決済を行うと、5%ないし2%のポイント還元が行われ、そのことにより消費の活発化の後押しや利便性向上へつなげることが主な目的となる。
また、中小・小規模事業者にとっては、キャッシュレス化決済が進むことにより、生産性の向上などへもつなげられる。日本の9割以上を占める中小・小規模事業者でのキャッシュレス化が進むことは、キャッシュレス決済そのものが、日本全国へ普及していくことにもつながるのだ。
「キャッシュレス・消費者還元事業」ってどんな事業?
「キャッシュレス・消費者還元事業」は、平成31年度の予算額2,798億円を投じる事業で、2019年10月1日の消費税率引き上げ後、9ヶ月間の間に、消費者がキャッシュレス決済手段を利用して、中小・小規模の小売店やサービス業者、飲食店などで決済を行った場合、決済金額の一部(5%ないし2%)を消費者にポイント還元するというもの。それにともない中小・小規模事業者には、「決済端末導入費」や「決済手数料の一部」「消費者への還元分」について国から補助が受けられる、という内容だ。
具体的には、
10月1日の消費税率引上げ後、「9カ月間」(~2020年6月30日まで)について、消費者がキャッシュレス決済手段を用いて中小・小規模の小売店・サービス業者・飲食店などで支払いを行った場合、個別店舗については5%、フランチャイズチェーン加盟店等については2%を消費者にポイント還元する。
対象となる決済手段は、クレジットカード、デビットカード、電子マネー、QRコードなど一般的な購買に繰り返し利用できる「電子的決済手段」だ。
キャッシュレス決済に掛かる加盟店手数料率は、3.25%以下への引下げを条件とし、国がその3分の1を補助する。
さらに、事業者の負担ゼロ(3分の1を決済事業者、残り3分の2を国が補助)で決済端末も導入することができる。フランチャイズ等の場合は消費者還元は2%を補助し、端末費用・加盟店手数料の補助はなし。
消費者にメリットがあるだけではなく、私たち中小・小規模のサロンを始め、小売店やサービス業者、飲食店といったお店にとっても、集客率の向上、レジ締め・現金の取り扱いといったコストを省いた業務の効率化を含む生産性の向上へつながり、人手不足に悩む、私たち中小・小規模事業者にとっては、実際の利益へつながるメリットが想像できそうだ。
事業についてもっと詳しく知りたい場合は、専用のウェブサイトをご覧頂ければと思う。
「キャッシュレス・消費者還元事業」の具体的な内容
キャッシュレスには何が含まれるのか?(対象決済手段)
「電子的に繰り返し利用できる決済手段」が対象。
クレジットカード、電子マネー、QRコードなどが含まれる。
消費者還元の期間は? (対象期間)
2019年10月~2020年6月(9ヶ月間)
この期間は同時に、事業者にとっては、「決済手数料の負担が減る期間(国が1/3 の補助を行なう期間)」 でもある。
決済端末が 「負担なし」で導入できる期間 は、2019年5月中旬(予定)から2020年5月31日まで。
どんな事業者が対象か?
大前提として中小・小規模事業者、が対象。また、補助の対象外となる事業・取引も定められている。
【補助対象となる中小・小規模事業者の範囲】
・ポイント還元事業の対象は、原則として中小企業基本法上の中小企業等とする。
・他方、当該定義に該当する場合であっても、課税所得が15億円を超える中小・小規模事業者は対象外とする。
(1)中小・小規模事業者
(2)いわゆる「過小資本企業」
中小・小規模事業者の定義に該当する場合であっても、登録申請時点において、確定している(申告済みの)直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える中小・小規模事業者は補助の対象外とする。
【補助の対象外となる事業者・取引】
下記の事業者・取引はポイント還元事業の補助対象外とする。
- 国、地方公共団体、公共法人
- 金融商品取引業者、金融機関、信用協同組合、信用保証協会、信託会社、保険会社、生命保険会社、損害保険会社、仮想通貨交換業者
- 風営法上の風俗営業(※一部例外(注)を除く)等
- 保険医療機関、保険薬局、介護サービス事業者、社会福祉事業、更生保護事業を行う事業者
- 学校、専修学校等
- 暴対法上の暴力団等に関係する事業者
- 宗教法人
- 保税売店
- 法人格のない任意団体
- その他、本事業の目的・趣旨から適切でないと経済産業省及び補助金事務局が判断する者
(注)①旅館業法上の許可を受け旅館業を営む事業者、②食品衛生法上の許可を受け、生活衛生同業組合の組合員であり、料金の明示、明細の交付など会計処理
を的確に行うことについて組合の指導を受けた旨の確認を得て飲食店を営む事業者
【補助の対象外となる取引】】
- 有価証券等、郵便切手類、印紙、証紙、物品切手等(商品券、プリペイドカード等)
- 自動車(新車・中古車)の販売
- 新築住宅の販売
- 当せん金付証票(宝くじ)等の公営ギャンブル
- 収納代行サービス、代金引換サービスに対する支払い
- 給与、賃金、寄付金等
- その他、本事業の目的・趣旨から適切でないと経済産業省及び補助金事務局が判断するもの
ご自身の事業、または取引が本事業の対象かどうか、詳しくはこちらの資料でご確認ください。
軽減税率対策補助金との違い
軽減税率対策補助金は、軽減税率の対象である飲食料品を取り扱う中小・小規模事業者の軽減税率対応を支援する目的のもので、「複数税率」に対応するために、それに対応するレジや付属機器を購入する費用を補助する補助金。必要な経費の1/4を中小・小規模事業者が負担し、残り3/4を国が補助するもの。
詳しくはこちらのPDF資料をご確認ください。
事業のメリット
導入店舗のメリット
「キャッシュレス・消費者還元事業」の対象となるキャッシュレス決済は、消費者のみならず、導入店舗にとってもメリットがある。
この事業に参画することにより、お客様が自店にて、クレジットカード・電子マネー・QRコード決済など「電子的に繰り返し利用できる決済手段」(キャッシュレス決済)をお支払い手段として利用する場合のメリットをまとめてみた。
尚、フランチャイズチェーン店やガソリンスタンドなどでの還元率は、中小・小規模事業者に該当する加盟店(フランチャイジー)についてのみ、国からポイント還元の原資2%分が補助される。フランチャイザー(本部)との契約によって異なるため、詳しくはこちらの資料をご覧ください。
店舗を利用する消費者のメリット
「キャッシュレス・消費者還元事業」に参加しているお店で消費者がキャッシュレスで買い物をした場合、一般の中小・小規模事業者では、決済額の5%フランチャイズ加盟店においては、決済額の2%がポイントなどの形で還元される。
詳しくはこちらの資料をご覧ください。
サロンでの活用方法について考えてみよう!!
サロンでこの「キャッシュレス・消費者還元事業」を大いに活用するし、運用していくのはどうすればよいだろうか?
現状でも、クレジットカードなどによる、キャッシュレス決済を行っているサロンは多いと思う。なので、「なにをいまさら?」と思うサロンもあるかもしれない。
では、今後ますます加速する「キャッシュレス化」の流れに乗る理由はどこにあるのだろう。そして、キャッシュレス化によるメリットは、どのようなところに表れてくるのだろうか。
ますます加速するキャッシュレス化
インターネットの発達により、グローバル化が加速したと言われますが、情報のグローバル化のみならず、人的なグローバル化もますます加速し、国境などの垣根が益々低くなる、ボーダーレス化がより一層進む。これらにより、世界共通で不便なくスムーズに、金銭のやり取りが行える状態になることが求められます。
たとえば、わかり易いのは、海外旅行に行ったことがある方が必ず経験したことのある「両替」だ。なぜ両替を行うのか、というと、国や地域ごとで貨幣が異なるため、現地で自国の「キャッシュ」が使用できないため、わざわざ、自国の紙幣を現地貨幣と交換しなければならない。その度に手数料もかかるわけだ。
物的なグローバル化はずいぶん前から行われていたが、情報や人的なグローバル化は今後ますます加速する。その際にネックになるのが、貨幣というわけだ。旅行にしても、ビジネスにしても、必ず貨幣が関わってくる。
日本へも外国人旅行客が年々増加傾向にあります。2020年をキッカケに、ますます人的な交流、質的な交流は、ビジネスも含めて活発になるだろう。日本はキャッシュが重用される傾向にあるが、海外ではキャッシュレスが重用される。そんな価値観を持った海外からの旅行客が日本へやってきたとき、わずらわしい現金のみの支払だったらどうだろうか? そもそも、現金そのものさえ持参してきていない可能性すらあるのだ。
或いは、企業での人財確保がますます難しくなっている時代にあり、今後ますます、外国人労働者への門徒が開かれるはずだし、日本人も、ますますビジネスで海外へ行くことも多くなるだろう。
無理に、日本が他の国々に合わせる必要もないのかもしれないが、グローバル化がさらに加速することは明らかなのだ。
サロンのメリット
では、キャッシュレス化を進めることで、サロンにとってどのようなメリットが生まれるのだろうか。一言でまとめるならば、「生産性や業務効率化が図れる」 ということだ。
① 現金を扱う量が減り、それに伴うレジ締めなどの事務作業や銀行へのキャッシュを預け入れに行ったり、現金を引き出したりする業務が減り、業務効率が上がる。
②業務効率が上がることで、人的な資源で不利な中小・小規模事業者にとっては、大切な業務に人的資源を配分・配置することができ、ロボットでもできそうな事務作業を減らすことができる。
③現金の取扱量が減ることで、会社の金融資産の窃盗や搾取などの被害から守れる。
④サロンではほとんどないが、顧客の売掛けの未払いの回収にかかる業務やコストが削減され、また、未回収のリスクも大きく減らすことができる。
など、のメリットが考えられるだろうか。 上記の記載した内容の他にもメリットはたくさんある。
「キャッシュレス・消費者還元事業」についての問い合わせ先
本事業に関する問い合わせなどは、経済産業省の下記コールセンターへ。
まとめ
「キャッシュレス・消費者還元事業」の目的は大きく2つ
1.2019年10月1日の消費税率引上げに伴う消費の落ち込みを抑えること
2.キャッシュレス化を促進することで、キャッシュレス決済の普及を図る
事業の具体的内容
期間中に、事業に参加した中小・小規模事業者の店舗などで、消費者がキャッシュレスによる決済を行うと、5%ないし2%のポイントが還元される。
【期間】
2019年10月1日~2020年6月30日の9ヶ月間
【キャッシュレス決済の手段】
対象決済手段は、クレジットカード、デビットカード、電子マネー、QRコードなど一般的な購買に繰り返し利用できる電子的決済手段。
【導入事業者への補助内容】
① 決済端末の導入費用がかからない
② 期間中の決済手数料は2.17%以下(※決済事業者による)
③ 消費者へのポイント還元は、原則・決済事業者(参加の中小・小規模事業者ではない)
サロンの導入メリット
- キャッシュによる支払での様々な業務負荷が減り、業務効率向上
- 大切な業務へ人的資源などを集中投下できる
- グローバル化への対応が可能
- キャッシュを扱う際のリスク軽減 など。
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