コラム
美容師の人手不足を解消するには?(2018年03月07日)
先日、ニュースを観ていると、「来春卒業予定者の大卒向け就職活動(会社説明会)がスタート」という話題が取り上げられていました。その合同会社説明会での取材で、「就職先に求めるものは?」との問いに、最も多かった、学生の企業選択基準のトップが、『福利厚生』 という回答でした。政府主導の「働き方改革」やブラック企業問題なども背景にあるのでは、ということでした。そのレポート結果、あなたなら、どう思いますか?
美容学校へ通う、今年2年目を迎える学生にとっても、「就職活動」は気になる話題だと思います。そして、新卒でスタッフを雇用する計画のある美容室にとっても、すでに、来春の新卒スタッフの採用に向けた活動が始まっています。美容業に限らず、どの業界でも人手不足が叫ばれています。 美キュートにご登録の美容室様から最も多く聞くセリフは「スタッフの募集をしても応募がない」ということ。 これには様々な要因がありますが、そもそも、「美容師という職業」は、学生たちにどのような印象を持たれているのでしょうか。
高校生と保護者の進路に関する意識調査2017
リクルートマーケティングパートナーズと全国高等学校PTA連合会は2018年2月2日、「高校生と保護者の進路に関する意識調査2017」を発表しました。(※1)
【将来就きたい職業は?】(対象:高校生)
―男女全体
1位:教師(10.5%)
2位:公務員(10.2%)
3位:看護師(7.9%)
4位:製造業(7.0%)
5位:医師・歯科医師・獣医(5.6%)
6位:保育士・幼稚園教諭・幼児保育関連(5.3%)
7位:薬剤師(4.3%)
8位:技術者・研究者(3.3%)、
9位:建築士・建築関連(3.2%)
10位:美容師・理容師・ヘアメイクアーティスト・エステティシャン・美容関連(3.1%)
―女子のみ
1位:看護師(13.7%)
2位:教師(9.0%)
3位:保育士・幼稚園教諭・幼児保育関連(9.0%)
4位:公務員(5.2%)
5位:薬剤師(4.7%)
6位:医師・歯科医師・獣医(4.5%)
7位:美容師・理容師・ヘアメイクアーティスト・エステティシャン・美容関連(4.0%)
*なお、男子生徒では「美容師・理容師・ヘアメイクアーティスト・エステティシャン・美容関連」はベスト10外。
(※1)調査は、全国11都道府県の公立高校27校の2年生1,987人とその保護者1,722人から得られた回答を集計。生徒の性別は男子53.5%、女子44.8%。保護者は母親84.1%、父親12.8%。いづれも無回答など含む。(理美容ニュースより)
キレイでオシャレな美容系職種は高校生から根強い高い人気がある一方、安定志向の強い保護者からはベスト10に選ばれていない。保護者が子供に就いて欲しい職業は、断トツで公務員(32.0%)だが、高校生の安定志向も近年強まりつつあることが予測されます。
「大人になったらなりたいもの」調査。美容師はベスト10外
第一生命保険は 「大人になったらなりたいもの」 調査の結果を2018年1月4日発表しました。この調査は、1989年から毎年行われている年初恒例の 「幼児・児童を対象にしたアンケート調査」 です。
美容師は女子の人気職種の一つで、前回は8位にランクイン。過去29回行われているこのアンケート調査での“美容師”の過去最高ランクは 『7位』 で3度あります。トップ10のランク外も過去に11回あり、今回のランク外で12回目になります。なお、男子は、美容師・理容師ともにベスト10入りをしたことは過去にありません。
美容師の人手不足を解消するには、業界全体で一体となった取り組みが必要!!
美容師の人手不足を解消するにはどうすれば良いのでしょうか。現在も様々な取り組みが行われていると思いますが、今後ますます重要になってくる要素は、「業界全体で一体となった取り組む」 だと思います。
「美容師の成り手を増やす」ということも、業界全体として考えると、「美容室への集客」とベースの考え方は同じで、美容師の成り手となり得る見込み美容師を増やし、その中から美容学校への入学者数を増やし、美容室への就職率を上げ、離職率を下げる、という流れです。
STEP1:将来、美容師の成り手となり得る 「見込み美容師」 を増やす
STEP2:主に「見込み美容師」を対象に、美容師という仕事や職業の魅力をプロモーションし続ける
STEP3:美容専門学校への入学者数を増やす(又は維持する)
STEP4:「美容師免許」の取得者数を増やす。(同時に、専門学校中退者を減らす。国家試験の受験者数増やす)
STEP5:美容室や美容業界への就職者数(就職率)を増やす
STEP6:美容室や美容業界の離職率を減らす
STEP7:美容師の美容業界からの離職者を、美容室や美容業界へ復帰させる(復職率を上げる)
これらの流れの中で、どこを改善していくのか。そのために、どのような取り組み・プロモーションを行っていくか。将来に向けて、私たち業界に携わる者同士が、智慧を出し合って、一体となった取り組みが必要になってくると思います。